「稼ぐ」手段は2つだと思う。

1月初頭、弊社ボスより年始講和があった。
今年は3つのことを大切にする

  • 「個々の成長」
  • 「顧客満足(潜在)(非言語)」
  • 「稼ぐ」

この3つのうち「稼ぐ」について、ポイントを一つ言語化しておく。
ポイントはこうだ。

「稼ぐ」には2つの方法がある

お金を「稼ぐ」と言っても、さまざまな手段がある。
ありすぎて、よくわからないくらいに。
だから、この2つに切り分けてみる。

  1. 機能性がすごい、役に立つものを提供する
  2. 意味がある・感情の動く・感性が刺激されるものを提供する

①は、世の中に多く流通しているし、規模を大きく、安く、便利にできる企業がある。

もちろん『相場』もある。

あなたのお店に来られうるお客様が、
あなたのお店と比べているのは、どんなお店・サービスだろう?

私たちが取り組んだ方が良いのは、
比べられるお店の①レベルを当たり前に抑えた上で、
②を想像し続けることではないか。

そうすれば、

相場に引っ張られず、「稼ぐ」ができる。

お客様と本当の意味で仲良くなれるし、接客する方が自然体でいられるようになる。

そのほうが、人を、あなたのサービス・商品で、『幸せ』にできる。

この考えをわかりやすく表現できる事例があるので、下記に共有する。
ぜひご一読いただきたい。
著者は伏せておく。

▼『正しさ』にかまけるな。惚れさせろ。
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一泊1万円の宿と一泊2万円の宿の『機能』も違う。
1万円の宿はユニットバスだけど、2万円の宿になってくると「風呂」と「トイレ」は別だ。

最初のうちは、『値段』に合わせて、『機能』もグレードアップしていくんだけど、どっこい、「一泊5万円の宿と一泊10万円の宿の違い」を探すのは難しい。

どちらも当たり前のように「風呂」と「トイレ」は別だし、どちらのベッドもフカフカだし、どちらもアメニティーは充実している。
値段が二倍になったからといって、部屋の広さが二倍になるわけでもなけりゃ、ドライヤーの馬力が二倍になるわけでもない。
 
そりゃそうだ。
ベッドのフカフカ具合には限界があるし、部屋面積にも限界がある。
これ以上、『機能』を上げようがない。

そして、ここから値段が上がれば、さらに『機能差』が分かりにくなる。

残すは「快適さ」「居心地の良さ」といった目には見えない「感情部分」だ。
超高級ホテルはこの「感情部分」で他との差を生み、値段に納得感を生んでいる。ここでも、やはり「機能」ではなく「意味」だ。

 
▼「正しいサービス」よりも「惚れるサービス」
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そんな中、とても勉強になったことがあったので共有しておくね。
都内にある超高級ホテルに泊まった時のことだ。
超高級ホテルの正体を知るには一日では足りなさそうだったので、僕は3日間ほど予約してみた。まぁ、勉強代。

初日。
部屋に通され、さっそく仕事をしようと思ったら、スマホの充電器を自宅に忘れてきたことに気がついた。
一晩ぐらいなら乗り切れそうだけど、今日から3日間お世話になる。
これでは仕事にならない。 
僕は大きく溜め息をこぼし、近所のケータイショップを検索した。
どうせ充電器はすぐに寿命がくるし、スペア用に買っておこうと考えたわけだ。
 
ところが、そのケータイショップは、歩くと遠く、タクシーを拾っていくほど遠くない位置にある。
これではタクシー代が勿体無いし、それに、こんなことでタクシーを使ったら、「充電器を忘れた」というミスが際立ってしまうので、負けじゃん(#負けなのか?)。

スマホを閉じて、もう一発溜め息をこぼした後、「ホテルのフロントに言えば貸してもらえるかも」と考えた西野は、すかさずフロントに連絡を入れて「スマホの充電器を忘れて困ってるんです。お貸りできますか?」とお願いしてみた。
 
そこから、ものの1〜2分で充電器を持って来てくださり、飛んで喜んだ西野は「ありがとうございます!助かりましたー!」とホテルのスタッフさんに何度も頭を下げた。
おかげで、そこから3日間は実に快適に過ごすことができましたとさ。

さて。 
 
これは「充電器を忘れたことお客さんの為に予備の充電器を用意していたホテルってイケてるよねー」という話じゃない。 
 
僕が気になったのは、「僕がスマホの充電器を忘れたお客さん第一号なわけがない」という点だ。
 
過去、数百人、数千人のお客さんが、スマホの充電器を忘れ、そして、僕と同じようにフロントに駆け込んできただろう。
ならば、最初から部屋の中にスペアの充電器を置いておけばいいじゃないか?
実際、部屋の中(鏡台の前などに)にスペアの充電器が置かれてあるビジネスホテルは少なくない。
「配慮が行き届いているサービス(正しいサービス)」は、明らかにそっちだ。

だけど、どうだろう。
 
僕がスマホの充電器を自宅に忘れたことに気がついたあの時。
部屋の中にスペアの充電器が備えてあったら、僕は溜め息を溢すこともなく、感情の針を動かすことなく、そのまま3日間を過ごしていただろう。
ホテルのスタッフさんとコミュニケーションをとることもなければ、ホテルのスタッフさんに救われ、感謝することもない。

あの時、僕は一度谷に落ちた。
そこにホテルマンが颯爽と現れ、救いの手を差しのべてくれて、僕を谷から引き上げてくれた。
そもそも「谷」などなければ、僕が谷に落ちることもなかったわけだが、だけど僕の目にはそのホテルマンがヒーローに映った。
「この人(この人が働くホテル)に何かの形で御礼をしたいな」と思った。
それは「恋」に近い感情だ。
 
「不自由のない正しいサービス」と「不自由があるが惚れるサービス」。
より高い値が付くのはどっちだ?

  
▼「恋」を設計する
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このホテルの話をした時に、高級ホテルオタクであるマネージャーが「実は私も…」と、こんな話を聞かせてくれた。

彼女が海外の高級ホテルに泊まった時のことだ。
決して安くないホテルなので、「このホテルに泊まるのは3日だけ」と決めていた三日目のこと。

部屋の中に鍵を忘れてしまい、部屋のドアが開けられなくなってしまった。
仕方がないのでフロントまで行き、スペアキーを貰おうとしたところ、「本人確認」を求められたそうだ。
そこで彼女は、パスポートを見せて、無事にスペアキーを手にして、部屋に入ることができた。

その夜。
部屋の呼び鈴が鳴り、出てみると、「一日遅れてすみません。お誕生日おめでとうございます!」とホテルマンが小さな誕生日ケーキを持ってきてくれたという。
たしかに昨日は彼女の誕生日だったが、なぜ、昨日が誕生日だと分かった?

考えられるのは一つ。
フロントでパスポートを出したあのタイミングだ。

そこで、「誕生日」に気がついたスタッフが、すぐにケーキを買いに走ったのだろう。
高級ホテルからすると、たかだか1500円程度のケーキだ。
それでも、その気持ちが嬉しかったマネージャーは、「あ~ん、もう、好き!!」となり、その場で、もう1泊することを決めたらしい(笑)。

「海老で鯛を釣る」を絵に描いたような話だけど、ここで富裕層を捕まえたのは「正しいサービス」ではなく、「惚れるサービス」だ。

キミの商品を高く買ってもらいたいのであれば、「機能」に酔うな。
「正しさ」にかまけるな。
「感情」はプライスレスだ。
人が惚れる立ち振る舞い学び、心を奪え。

出典https://www.facebook.com/groups/157664324853695/permalink/1182914065662044/

以上だ。

2023年1月4日
辻実成